見出し画像

歴史的な建造物を未来へ。京都のまちなみを守る企業の挑戦

京都の大きな魅力のひとつは、歴史あるまちなみ景観です。

今年、登録から30周年を迎えた世界遺産「古都京都の文化財」をはじめ、たくさんの歴史ある建造物。
そして京町家が建ち並ぶ風情あふれるまちなみなど…

私も、こうした京都の美しいまちなみを、歩いて回るのが楽しみであり、癒しでもあります。

しかし今、この京都の魅力が大きな課題に直面しています。


京都のまちなみを守る難しさ

京町家や寺社などの歴史的建造物を守っていくためには、日々の手入れや修繕など、かなりのお金や手間がかかります
京都の美しいまちなみは、所有者の皆さんの弛まぬ努力で成り立ってきました。

そんな歴史的な建造物を守っていくには、様々な方法があります。
外装をそのままに、中は店舗などにガラッと改装したりするのもひとつの方法です。

一方、京都のまちなみは、そこに息づく暮らしや文化と密接に関わっています。祇園祭で、屏風などの美術品や家の設えなどを公開する「屏風祭」はその一例です。

京都市では、「京都市歴史的風致維持向上計画」を策定し、祈りや祭礼、自然、文化・芸術などが息づく京都ならではのまちなみの保全に取り組んできました。

しかし近年、所有者の方々の高齢化も進んでいて、相続などをきっかけに、建造物の継承が困難に。
やむを得ず解体したり、手放されたりというケースが増えています。

歴史的建造物を暮らしと共に未来につなぐ

そこで、市景観政策課では、伝統的な建造物を維持できる新たな仕組みを構築しようと、「KYOTO CITY OPEN LABO」(まちの課題を民間企業などと連携して解決する制度)で提案を募集

手を挙げてくださった企業のひとつが株式会社ニッセンさんです。

今回、実際に住まいとして使われていて、市が「歴史的風致形成建造物」にも指定している京町家(非公開)を会場に、茶道体験や伝統工芸(金継ぎ・竹細工・蒔絵・金彩)を体験できるプログラムをご提案いただきました。


「株式会社ニッセン」は、1957(昭和32)年に設立された京都企業。京友禅の機械染め加工業を前身とするカタログ通販のパイオニアです。

南区内の本社で、ファッションブランド本部マネージャーの飛知和さんと、古野さんにお話を伺いました。

(左)飛知和さん(右)古野さん

ー今回のご提案に至った経緯を教えてください。

ファッション産業は、廃棄など環境負荷が大きい分野です。
そこで私たちはアパレルの廃棄ロス、日本の繊維産業の衰退という社会課題の解決を目的に「RiFUKURU」というブランドを立ち上げました。

アパレルの残反・残糸を活用した商品企画で廃棄をなくし、日本で作られた品質の高い商品の販売などに取り組んでいます。
その一環で、京都の伝統産業とその背景にある課題に着目しました。

京都との関わりを深める

京都で創業した企業として、もっと地域との関わりを。
そこで、ニッセンさんは「未来へつなぐ架け橋プロジェクト」を立ち上げ、専門学校生とともに西陣織の新たな商品企画や販売を行うプロジェクトなどに取り組んでこられました。

専門学校生とともに制作した西陣織の洋服

ー京町家を活用する提案のきっかけについて

伝統工芸品は、それが使われてきた空間と共に味わって欲しい。
その思いを実現できるのが京町家でした。
参加者の皆さんには、京町家の空間とそこに息づく暮らしと共に、普段味わえない特別な体験をしていただきたいと企画しました。

ーこだわりのポイントは何ですか?

京都の「本当の」暮らしを体感していただくことです。
会場は、お商売をしながら実際に生活をされてきた、暮らしが垣間見られる京町家を市から紹介していただきました。

プライベートな空間でもあるので、どこまで使わせていただけるか。市の担当者の方にも協力してもらいながら、所有者の方との信頼を積み上げて実現しました。

また、これまでのプロジェクトでも学生の皆さんと一緒に運営してきたので、今回、学生さんにも京都の良さを体感して欲しいと考えています。

ー学生さんの反応はどうですか?

京都には多くの学生さんがいらっしゃいますが、京都の企業の事があまり知られていないと感じています。京都にも就職する先があったんだと言われたり(笑)
こうした取り組みで、学生さんと京都の会社、職人さん、伝統産業をつなぎ、京都に定住して欲しいと考えています。

伝統産業品や着物の魅力を伝えたい!って思っている学生さんもいらっしゃいます。また「京都市に住みたい」という声をいただいたときは嬉しかったですね。

西陣織の制作の様子

京都の奥を体験しよう!

この取組を通じて、学生さんがインターンとして来てくれるようになるなど、京都の定住・移住、そして企業にとっても優秀な人材確保につながる効果も。

伝統産業や京町家は、継ぐ人、つなぐ人が不可欠です

京都の魅力を未来に伝えよう!
そんなニッセンさんの思いが込められた今回の企画。

“ほんまもん”の京都を体験できる絶好の機会です。
ぜひご参加ください。
※事前予約制(先着順)です。

京都の奥を体験する~お茶席&伝統工芸制作@非公開京町家
開催日:2024年11月16日(土)・17日(日)
時間:10:00-17:00
場所:地下鉄烏丸御池駅付近
主催:株式会社ニッセン

【お申し込みはこちらから】


(インスタグラマーのMiya_snapさんによる美しいPR動画)

京都が残していくまちなみとは?

京都は千年を超える都の歴史の中で、大火や災害、戦乱など幾多の困難を乗り越えてきました。それは、都市再生の歴史でもあり、時代時代に変化してきた風景があります。

長い歴史を重ねてきた木造建造物が残るまちなみも美しいですが、近現代に建てられた「モダン建築物」もステキです。
こうしたまちなみの「多様性」も京都の魅力とも言えます。

こうした景観は、市民の皆さんの弛まぬ努力で守られてきました。

時代の変化の中で、京都の魅力や“美しい”と感じる景観を、どうやって残していくのか。その仕組みや方法を、私たち一人ひとりが考えて、行動することが大切だと実感しました。


京都市景観政策課では、京都市の景観政策やまちなみ保全の取り組みを分かりやすく紹介する動画を公開中!ぜひご覧ください。

📝ヒロ(市長公室広報担当)
広報担当2年目の職員。食欲の秋、私の大好物はサツマイモ。焼き芋、大学芋、スイートポテト…ねっとり甘味に癒されます。でも、サツマイモって野菜ですよね?果物と野菜の境界線が分かりません。まぁ良いか、美味しかったら。野菜だからと、食べすぎにはご注意を。

この記事が参加している募集