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美しい京都のまちを守るために。散乱ごみ対策の現場から

海外から京都を訪れた皆さんが感動することのひとつが「まちの清潔さ」
「満足度調査」では毎年、寺社や景観、自然に並ぶ上位です。

そんな美しいまち京都を、地域や事業者の皆さんと一緒になって支える職員の奮闘や思いを密着取材しました!


きめ細やかな収集活動

今回取材をしたのは、京都市環境政策局循環型社会推進部まち美化推進課(以下、まち美化推進課)の井上さん。
今年4月に現在の部署に配属され、朝は祇園、昼は嵐山など、日々、地域の方と連携しながら美化活動に取り組んでいます。

まち美化推進課 井上さん

井上さんとともに最初に向かったのは、嵐山の竹林の小径。
まち美化推進課の職員2名で街頭ごみ容器のごみ袋交換を行います。

竹林の小径に設置されている街頭ごみ容器は最先端の「スマートごみ箱」。2023年に株式会社木下カンセー様から寄付をいただき設置したものです。

遠隔でごみの量を確認できるほか、中に溜まったごみを自動で圧縮することができて、同じサイズの一般的な街頭ごみ容器の5~6倍ものごみを入れることができます。

ごみ袋を交換

井上さん:スマートごみ箱はとても便利ですが、やっぱり容量に限りがあります。日中、竹林の小径は人が多くて朝1回しか収集車による回収ができません。秋の観光シーズンには、こうして私たちが日中に一度、ごみ袋を交換に来ています。

回収したごみ袋はスマートごみ箱の後ろにカラスよけネットをかけて保管。人の少ない翌朝に収集車が回収します。

地域の皆さんと力を合わせてポイ捨て対策

ありがとうの「ハートバック制度」

ごみ袋を交換した後に向かったのは、嵐電・嵐山駅前の嵐山商店街。

商店街の店先には日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語で“ごみは買ったお店で必ず捨ててください”との呼びかけが貼り出されています。

井上さん:このポスターは、地域、嵯峨美術大学、京都市が連携し作製しました。嵐山地域ではこの秋、「ハートバック制度」を実施しています。買ったお店でごみを捨ててくれた方に、お守りやステッカーなどの記念品をお渡しして、美しい嵐山を守っていただいたことへの感謝を伝える取組です。

お守りやステッカーに描かれているのは、嵐山商店街の公式キャラクター・月橋渡(つきはしわたる)くん。
外国人観光客を中心に好評だそうです。

みんなで店頭に。「クリーンタイム」

井上さん:嵐山地域ではこの秋、平日の毎日午後3時に各店舗周辺を一斉に清掃する「クリーンタイム」にも取り組んでいて、私たちも一緒に参加しています。

クリーンタイムの様子

決められた時間になると、各店舗から緑のたすきをかけたスタッフさんが路上に出て、店前の掃き掃除などの清掃活動を実施。
店頭ではクリーンタイムのテーマソングを流し、観光客の参加も促しています。

井上さんも一緒にごみ拾い

散乱ごみ対策の取組と思い

―街頭ごみ容器をもっとたくさん設置してはどうかという意見もあります。

井上さん:かつて京都市では、約700基の街頭ごみ容器を設置していました。でも、家庭ごみや事業ごみが捨てられて容器があふれ、かえってごみが散乱してしまうという問題がありました。
 
このため、地域の皆さんと対策を議論し、2013年ごろに街頭ごみ容器を集中的に撤去しましたが、全国的に街頭ごみ容器の撤去が進む今でも、大都市の中で突出して多い約300基の街頭ごみ容器を、観光・行楽地を中心に設置しています。 

ただ、観光地の散乱ごみは、食べ歩きやテイクアウトが原因となることが多く、行政だけで全て解決できるものではありません。

そのため、テイクアウト店に、ごみ箱の設置や周辺清掃をお願いするとともに、地域の皆さんにも美化活動や街頭ごみ容器のごみ袋交換にご協力いただくなど、事業者、地域の皆さんと一体となって対策を進めています。

―「ハートバック制度」や「クリーンタイム」などの取組って素敵ですね。

井上さん:2024年5月から、商店街や地域住民の方、私たち市職員などによる座談会「嵐山ごみ課題サミット」で、秋のハイシーズンに向けた散乱ごみ対策について議論してきました。

サミットでは、地域をよくしようという想いで前向きな発言をたくさんいただき、その中から「ハートバック制度」「クリーンタイム」などが生まれました。

商店街や地域の皆さんと対策の話し合い

―他の地域での散乱ゴミ対策も教えてください。

井上さん:例えば祇園地域では毎週水曜日の朝に一斉清掃活動が行われています。
こちらは祇園商店街の有志の皆さんで取り組まれている活動ですが、私たちも一緒に参加し、美化活動に取り組んでいます。

また、ハイシーズンには街頭ごみ容器のごみ収集回数を2回から3回に増やすほか、ごみ容器周辺の早朝パトロール、八坂神社祇園石段下にスマートごみ箱の設置などの取組を行っています。

―市民の皆さんの反応はいかがですか。

井上さん:例えば祇園地域では、祇園祭に合わせて7月の1か月間、早朝の清掃活動を行ったのですが、地域の方に「毎朝ありがとう」と声をかけていただきとっても嬉しかったです。

“KYOTO CITY”と書かれた服で清掃活動を行っているのもあって、市民の皆さんの安心にもつながったのかなと思います。

―これからに向けて、一言お願いします。
井上さん:今日のクリーンタイム中も、ごみのポイ捨てはほとんど見当たりませんでした。
取組の効果がでているということもありますが、京都って、元々とても綺麗なまちなんです。

これからも、商店街や地域の皆さんと手を携えて、美しい京都のまちを守っていきたいです。

持続可能な京都観光の実現に向けて

まちなかにごみが散乱していると、住む人も訪れる人にも不快なものです。
しかし、こうした問題のすべてを行政だけで解決することは困難です。

京都市では、これからも、すべての人に魅力を感じていただけるまちであり続けるために、事業者・従事者、観光客、そして地域の皆さんとともに、散乱ごみをはじめ、様々な観光課題対策に取り組み、「持続可能な京都観光」を目指していきます。

📝産業観光局観光MICE推進室

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