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京都のまちなかに小さな大自然!梅小路公園にある癒しの空間とは?

様々なアミューズメント施設も充実し、
京都市民の憩いの場として、お子様連れにも大人気の「梅小路公園」。
そこに、まちなかとは思えない静寂な空間。豊かな生き物の楽園を発見!?
新生活も早1月、とちょっと。なんだか一息つきたいな・・
そんな皆さまにもおススメ。
その(隠れた?)魅力をレポートします。


貨物ヤードが森に大変身

梅小路公園は、1995年に開園。
13.7ha、災害時には5万人が避難可能な広大な敷地は、京都の物流を支える元鉄道貨物ヤードでした。
そんな草木ひとつない場所にまず整備されたのが、芝生広場、「朱雀の庭」「いのちの森」です。

(左)1987年 (右)2020年
提供:国土地理院(京都市が一部加工)
芝生広場で子どもたちが遊ぶ姿も

最寄りのJR嵯峨野線「梅小路京都西駅」を降りてすぐ、三角屋根の建物と和風の門が目印の「緑の館」が見えてきます。

緑の館 「朱雀の庭」「いのちの森」への入口

旅するような日本庭園

入場ゲートを抜けると広大なお庭が広がります。

「朱雀の庭」への入口

京都には歴史を紡いできた数多くの有名な日本庭園がありますが、
この庭は、そうした京都の作庭技術・技法の粋を集めたもの。
平成時代を代表する「池泉回遊式」の日本庭園です。

深山に分け入ったよう

「池泉回遊式」とは、真ん中の池を中心に回遊しながら楽しむ庭。
その名の通り、歩くにつれて「景色」が移り変わる、まるで「旅するような」感覚です。
築山や滝、「野筋」と言われる川のような風景が次々と現れます。

平安時代以来の造園手法である「野筋」

“京都”をプロデュース

この朱雀の庭を管理されている、梅小路公園管理事務所の伊藤所長と植村さんに、見どころなどを伺いました。

梅小路公園管理事務所の
(左)植村さん (右)伊藤所長

Q 素晴らしいお庭ですね。見どころを教えてください。

伊藤所長
「朱雀の庭」のテーマは「伝統と創生」
平成に作られた新しいお庭ですが、平安時代から時代ごとに培われてきた様式美、例えば江戸時代を代表する桂離宮や修学院離宮などのお庭の要素も見られます。石組みひとつとっても、各時代の様式を踏まえながら、時代に合わせて新しい様式美を作り上げてきた、そんな京都の庭造りの伝統の流れが見て取れます。

園内の滝(落差6m、京都市内の日本庭園の滝として最大)

植村さん
このお庭の中央にサルスベリがあります。
夏には3箇月ほど花が咲きますが、冬でも美しい木肌や樹形など1年を通して楽しめます。また、サルスベリの周りにある「花床」では、サルスベリの花びらが周囲に散らばる景色を、1年を通して楽しめるよう作っています。

サルスベリ

(植村さん)また、斜面の赤松も、庭師の技術で木肌の赤が綺麗に見えるようにしていただいています。さらに、「水鏡」と呼んでいる池。水深1センチほどの深さに保たれ、底に黒御影石が敷き詰められるなど、周りの景色が映り込む工夫があります。

京都でも数が少なくなっているアカマツ林

「庭の骨格」を楽しむ?

伊藤所長
木々が落葉した冬だからこその楽しみ方が「庭の骨格」です。
高低差があり起伏に富んだ地形がくっきり見えて、石や樹木の配置も良く分かります。しっかりと作りこまれているので、庭好きの方から好評なんですよ。

(伊藤所長)また、春と秋には、カワラナデシコ、桔梗、フジバカマなど、京都で昔から親しまれてきた花を庭園内に展示する「和の花展」を開催しています。日当たりの良い場所、木漏れ日のある場所など、この庭園内には様々な環境があるので、植物の生育環境に合った場所に展示できます。
この庭園には、庭に造詣が深い方から、お子様まで、様々な楽しみ方がある。京都の文化や自然を体感していただけます。

庭の「骨格」とは初めて知りました。そんなツウな楽しみ方があるんですね!
どっから見ても日本庭園!ですが、何だかモダン。まさに「伝統と創生」を感じます。
京都の自然や地形がギュッと凝縮されて、ミニチュア京都を旅する感覚も楽しめます。

都会の中の小さな大自然

朱雀の庭の奥には「いのちの森」があります。
森の中に一歩入ると小鳥のさえずりが聞こえてきます。

いのちの森への入口

Q 日本庭園から橋を渡ると全然違った世界が広がりますね。

伊藤所長
「いのちの森」のモデルのひとつは、山城原野の原植生が残るとされる下鴨神社の「糺の森(ただすのもり)」
落葉樹を中心に、比較的明るい森でいろいろな動物や昆虫が住んでいます。
最近の京都の森は、山の環境変化や、イノシシやシカなどの食害の影響で、希少な植物が減少しています。でも「いのちの森」は、そうした動物はやってこず、希少となった植物の保全にも取り組んでいます。
また、森の中には田んぼも。毎年地域の小学生が田植えから稲刈りまで体験しながら、生き物を観察する貴重な場所となっています。

「樹冠回廊」から見た森の中の様子

植村さん
この森は、「自然な形」での成長を大切にしています。例えば森の中を人が踏み荒さない、倒木ひとつとっても必要以上に管理しないなど、自然の姿を邪魔しないよう、注意深く管理をしています。
運が良ければカワセミなど、都会では珍しい生き物にも出会えますよ。
ぜひ多くの子どもたちに来ていただきたいです。

小川のせせらぎも

この都会の真ん中で、613種の植物や75種の鳥類などが確認されているとは驚きです。まさに「いのちのゆりかご」ですね。
森の中には「樹冠回廊」が整備されていて、少し高い位置から森の中を散策することができます。何だか森の動物になった気分です。

お食事も楽しみに

「緑の館」には、お庭を一望する最高のロケーションに「京野菜レストラン梅小路公園」があります。
京野菜をはじめ、京都の旬の食材を使ったパスタやピザなどのオリジナルメニューは、どれも魅力的です。
お庭の散策と共にお立ち寄りください。

レストランの店内

京野菜レストラン
https://www.kyoto-aquarium.com/kyoyasai-umekouji/

最後にお二人のおすすめコースを伺いました。

伊藤所長
様々な魅力があって、幅広い年代の方が楽しめる梅小路公園。
土日はチンチン電車が運行しています。見ても楽しいですし、乗っても楽しい。日本で初めてチンチン電車が走った明治の京都を疑似体験できます。

梅小路公園内の「市電ひろば」

植村さん
夏場は、河原遊び場がおすすめ。
すざくゆめ広場でお弁当を食べて、周辺の施設に出かけるのも良いですね。
園内には距離を表示した看板があり、季節の花を楽しみながらのウォーキングも楽しいですよ。園内にはポケモンマンホール『ポケふた』もありますので、探してみてください。

また来たくなる、癒しの空間

私も実は初めて訪れた「朱雀の庭」と「いのちの森」。
賑わいから一歩入った場所に、こんな素敵な空間が広がっているとは思っても見ませんでした。
梅小路公園まで来たのに立ち寄らないのはもったいないですね!

このほか、お庭に面したイベント室や茶室・和室もあって、講演会やお茶会でも利用できます(有料)。

お庭や自然が好きな方はもちろん、日常を少し離れてちょっと一息つきたいな・・なんて時、京都の文化と自然があなたを優しく受け入れてくれます。ぜひ一度訪れてみてください。

【施設情報】
朱雀の庭・いのちの森
入園料:200円(小学生以上)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/28~1/4)
入園時間:午前9時~午後5時(入園は16時30分まで)
(レストランの営業時間は午前11時から午後9時)
お問合せ:(公財)京都市都市緑化協会 
     梅小路公園管理事務所 (下京区観喜寺町56-3)
     075-352-2500

このあたりにあった平家一門の邸宅「西八条第」の石碑も

📝ヒロ(市長公室広報担当)
広報担当2年目の職員。京都のお気に入りは鴨川と美術館。寺社に劣らぬパワースポットと思っている。「歩きながら考える」をモットーに、たまにつまずき焦ってる。
[付箋]
記事をご覧いただきありがとうございます。
多くの方の目に留まり、スキに癒され励まされ、次なる記事へと向かいます。今回は皆さまへの感謝を込めて、癒しのおすそ分け。緑多めでお届けしました。GW明けの虚ろな日々。ご自愛くださいませ。