まちの真ん中に「サード・プレイス」。小さな芝生から広がる大きな挑戦とは?
ある日の昼休み、職場の窓から広場を見たら芝生が出現!
えっ!?植えてる?踊ってる?チルッてる??
気になりすぎるので、駆け付けてみました。
笑顔あふれる昼休み
この日、市庁舎前広場では芝生を中心に、キッチンカーや屋台が出店。
昼休み中の市職員や市民・事業者の皆さんが、フラットに集ってお弁当を食べたり、談笑したりしながら思い思いの時間を過ごしています。
読む、聴く、話す
マインドフルネス!
広場の真ん中にそびえたつのは、なんと『瞑想空間』!。竹を巧みに組んだ空間をレースのカーテンが包み込みます。茶室のように身をかがめながら中にはいると、そこには幻想的な空間が。天井を見上げたら、ぽっかり空いた穴から青空が覗きます。ナニコレ!落ち着く!!このまま居座りたい…
おなかもいっぱい
美味しい手作り弁当や、クリームたっぷりのシュークリーム、個性的なチャイのお店も出店して大盛況です。私もお昼ご飯に美味しくいただきました!
京都のまちなかに「サード・プレイス」を
実はこれ、京都市都市計画局まち再生・創造推進室による「小さな芝生広場」という社会実験。この“仕掛人”のひとり、同室の河井さんにお話を聞きました。
-この取組がはじまったきっかけは?
職場でのアイデア出しがきっかけです。まちなかにあまり使われていない公共空間ってたくさんあるけどもったいないなと思っていて、こうした空間をもっとまちに開いていきたくて提案しました。予算は無かったけど、いろんな課から芝生や椅子などを借り、庁舎管理課にも協力してもらい、とにかく1箇月間、毎週火と木曜にやるぞ!と決めてスタートしました。
-どんな空間を目指していますか?
人々が集い偶発的な出会いや交流から、新しい活動や価値が生まれるような場所。職場や学校、自宅でもない「第3の場所=サード・プレイス」の創出を目指しています。公共空間って何かと『ダメ』なルールが多いけど、いろんな“実験”をやってみながら「ルール」に寛容性を持たせていきたいなと考えています。
-どうやって広がっていったんですか?
冬真っただ中の今年1月。寒さにブルブル震えながら敷いた芝生の上で仕事をしていたら、「何やってんの?」と声をかけて下さる方が出てきて。やがて“ご近所さん”に知れ渡ることに。人のご縁で少しづつ広がっていきました。そして、市役所斜め向かいの「QUESTION」(京都信用金庫さんが運営する共創施設)の方が偶然通りがかりお話をする中、京都のまちに同じ課題感を持っていることに共鳴!3月からは毎月第3金曜日にこうして展開しています。
-お願いしたわけではなく、ご縁で?
そうです。例えば、駄菓子屋さんが閉店して放課後が寂しいという小学生の声を聞いて、駄菓子屋さんが出店してくれたり。ストリートピアノは市役所前の地下街「ゼスト御池」の皆さんとつながって実現しました。そんな感じで、回を重ねるごとに、先月のゲストが翌月にはプレイヤーになる形で広がっています。
-今後の展開は?
大々的な広報は行わず、通りすがりの人々に“引っ掛かって”いただきながら、丁寧に「居場所づくり」をしてきました。これは行政だけでは絶対にできないことで、多様な主体が混じり合ったことで、新しい価値を共有できる場が芽吹き始めていると感じています。今後も活動(実験)を継続しながら、皆さんと一緒に、京都のまちのいろんな場所に豊かなサード・プレイスが生まれる“種まき”をしていきたいと考えています。
インタビューを終えて
私はかつて公共施設を管理する仕事をしていた時、トラブルやクレームがあるたびにルールが増えて、できることは減っていく…そんな管理と活用の真ん中でモヤモヤしていた日々がありました。
ラテン語のPeupel(People)が語源と言われる「Public」。そう!パブリックスペースとは「みんなの空間」。その場を使う人の節度と責任で、ゆるやかにつながりながら、自分らしい「居場所」と空間を作っていく。そんな楽しげで創造的なスポットがまちに広がれば、もっともっと京都は良くなる。そう強く感じました。これからも河井さんたちの挑戦に目が離せません!