あなたは“いけず”を見抜けるか?「京都人狼」の奥深さを伝えたい
おたくのお子さん、ピアノ上手にならはったねー
【本音】音、うるさいねん!
そんな京都のいけずを体感できるゲームがあります。
その名も「京都人狼」。
京都の老舗の女将さんと、京都市広報担当の職員が対戦しました。
後半は、制作者に聞いた秘話もご紹介します。
京都人狼とは
京都人になりきって「いけず」を体感できる会話型の推理ゲームです。
参加者が“京都人”になりきって、1人のよそさんを褒めていく中で、本音ではけなしている「いけずな京都人」を見破ります。
“よそさん”は、本音で褒めてくれている「素直な京都人」を全員当てれば得点が入り、
“京都人”は「素直な京都人」だと指名されれば得点が入ります。
京都市職員、老舗の女将といけず対決!
今回、お相手を願ったのは京都市下京区で大正時代から続く老舗扇子店「大西常商店」の代表取締役・大西里枝さん。
生粋の京都人として伝統産業を担いながら、「京都人狼」のイメージキャラクターを務めるなど、「いけず女将」キャラとして、京都の魅力も伝えておられます。
実際にやってみた
今回は市職員が「よそさん」役を変えて3回戦い、合計点で勝負します。
果たして、“京都人”役・大西さんの、いけずを見破れるのか!?
1.役割を決める
まずは“京都人”が、“よそさん”の何を褒めるかを決める「本音カード」が3枚ずつ配られます。
2.質問タイム(京都人がよそさんに質問)
大西さん「仕事は何したはるんですか?」
よそさん「報道機関に発表する資料の確認とかですね」
大西さん「仕事の悩みとかあります?」
よそさん「人にきつく言える性格やないんですけど、どうしても言わなあかん時があって…」
大西さん「えーそれはたいへんですね」
レイ「休みの日は何したはります?」
よそさん「読書ですね」
カチョー「どんな本、読むん?」
よそさん「今は原田マハさんの本を読んでますけど、仕事関係で地方自治の本、いつも枕元に置いていますよ!」
全員「えっ!?絶対うそやろ!」
同じ職場で毎日机を並べているのに、知らないことがザクザク出てきます。
3.褒めるタイム(京都人がよそさんを褒める)
“京都人”は、質問タイムで得た情報から、「本音カード」に書かれた内容で“よそさん”を次々に褒めていきます。
レイ「1本芯が通ってしっかりしたはるわ。おおきに」
よそさん「そうですか?照れますね」
カチョー「いつも仕事、丁寧やしなぁ。おおきに」
よそさん「ほんまですか?ありがとうございます」
大西さん「落ち着いてはりますねぇ。おおきに」
よそさん「いっぱい褒められて嬉しいですね(笑)」
“京都人”たちは褒めた後、必ず「おおきに!」
もう全部「いけず」に見えるし「本音」にも見える。
それに加えて“京都人”同士で足の引っ張り合いも・・・
レイ「落ち着いてるとか、いけずっぽいんとちゃいます?」
大西さん「そんなこと…私嘘つかれへん性格ですし」
褒められたことも素直に受け取れなくなる不穏な空気が渦巻いていく…
“よそさん”がドンドン翻弄されていきます。
4.見破るタイム
最後に“よそさん”が、「素直な京都人」を当てにいきます。
せーの!で答え合わせ。
“京都人”が自分の役割カードを出します。
なんと、レイと大西さんが「いけずな京都人」でした!
それぞれの本音は…
レイ「1本芯が通っててしっかりしてはるわ。おおきに」
【本音】「頑固者」
大西さん「落ち着いてはりますねえ。おおきに」
【本音】「老けている」
よそさん「え、落ち着いてるってそういうこと!?普通に喜んでしまってた…」
(もちろんゲームの「役」として言ってますからね!)
全員が疑心暗鬼になりながらも、
市職員がよそさん役を交代して3回戦。
その結果は・・
京都人歴約40年超えのカチョーが1位に!
大西さんは2位でした。
部下を動かす管理職として、真偽を見抜く目が証明されて良かったですね。
京都人歴がこのゲームの強さに比例する説も誕生。
さすが、年を重ねて磨かれてきたコミュニケーション力です。
いけずで京都を面白く
この「京都人狼」を考案した株式会社ない代表の岡シャニカマさんに、ゲームに込められた思いを伺いました。
京都の人がいけずに気づく
(シャニカマさん)京都の「いけず」は意地悪ではなく、ちょっと分かりにくいけれど人を傷つけないように配慮する優しい文化です。
京都の人に「京都にはいけずな人いるよね」と言うとみんな「私は違うけど、そういう人いはるよね」と言うんです(笑)
みんながみんなそう言うので、この文化は都市伝説ではなく本当に存在するんだと確信しました。
そんないけずを題材に制作したのが「いけずステッカー」。
京都の「いけず文化」、つまり言いづらいことを遠回しに伝えるコミュニケーションスキルに着目した商品でした。
例えば来客に言いづらい「トイレ立ってしないで」を「うちのトイレ座り心地悪いから…」と遠回しに代弁してくれる機能的価値があったんです。
今回の京都人狼は、そのいけず文化の「情緒的価値」に着目しました。
いけずステッカーを作る際に開催した「いけず座談会」では、京都人11名を集めて「こういう時にどう言いますか?」と聞いたら大喜利のように盛り上がったんです。
普段はおおっぴらに言えない「いけず」を言える空間が新鮮で、それを楽しみながら体験できるボードゲームにしたら、面白いんじゃないかと思ったのがきっかけです。
ヨソとウチで作り上げた新たな京都のお土産
(シャニカマさん)京都人の間では「いけず」をいじるのはタブーなのかもしれませんが、大阪人の私だからこそ、「いけずって面白いんちゃいますか」と言えるんかなと。
そして「京都人狼」は、「いけず文化」を楽しみながら体験できる新しい京都土産の提案として“ほんもの”を目指しました。
パッケージは京都の老舗和菓子屋のような高級感を。
デザインは京都のデザイン会社「CHAHANG」さんに、文字は読めそうで読めない優美な「変体仮名」を料理旅館・「吉田山荘」の女将である中村知古さんに書いていただきました。
そして製造は、京都で長い歴史のある有限会社修美社さんにお願いするなど、品質にトコトンこだわっています。
いけず観光の可能性
(シャニカマさん)「いけず文化」は、京都の魅力の1つだと思っています。
ゲームを通して、近しい人でも知らなかった側面を知れたり、普段は話しづらい相手ともコミュニケーションが取れるようになったりするかもしれません。「いけず」を言い合うことで、逆に仲が深まるという効果も期待しています。
これからも「いけず文化」を京都の観光資源として、京都の新たな魅力を発信していきたいと考えています。これまでにない面白い京都体験を提供することで、多くの人に京都の奥深さを知ってもらえればと思います。
いけずで仲良く
とても楽しい「京都人狼」ですが、最初はちょっと難しいかなと思っていました。
でも、初めてのメンバーでも、やってみたらスムーズに楽しめましたし、周りで見ている方も、(むしろ見ている方が)プレイヤーのバチバチ(いやらしい)駆け引きに大盛り上がり。
横やりを入れたりしながら本当に面白かったです。
そして何より、同じ職場で働く仲間の、違った側面も知ることができて、ぐっと身近に感じられるようになりました。
SNSなどでの誹謗中傷が問題になっています。
言葉は使い方次第で人を深く傷つけてしまうことがあります。
そんな時代だからこそ、京都で育まれてきた、相手の気持ちや立場を思いやるコミュニケーション術が、優しい人間関係を作っていくのにつながるはず!その思いを深めた時間でした。
職場で家庭で、イベントなどで使ってみたら、きっと人と人との距離を縮めて仲良くなれますよ。多くの方々に体験していただきたい!
「京都人狼」をふるさと納税で
京都市では、「京都人狼」を「ふるさと納税返礼品」に採用しています。
寄付金額は15,000円です。
以下のサイトからお申し込みください。