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“おりん”がヨガに。観光が紡ぐ京都の伝統産業の未来

京都といえば伝統産業を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

西陣織や京友禅、京焼・清水焼、京仏具など…
長い歴史の中で育まれてきた匠の技ですが、時代と共に継承の課題も。

そんな伝統産業を新たな時代につなぐには?
ここでは、観光と伝統産業の関わりについてご紹介します。


 京都と伝統産業

京都市には国指定を含め、74品目もの伝統産業品があります。

これら高い技術によって作られる伝統産業品は、茶道、華道、香道、能・狂言をはじめとする伝統文化を支えるだけでなく、衣食住など京都の暮らしに溶け込んでいます。

京都伝統産業ミュージアムの魅力

そんな伝統産業の魅力がギュッと詰まった施設が、左京区岡崎にある京都伝統産業ミュージアムです。

京都伝統産業ミュージアムの館内

実際の作品だけでなく、製作工程をわかりやすく解説したパネルや映像資料、体験コーナー、そして職人さんによる実演も!五感を使って伝統産業品について学ぶことができます。

2020年に宿泊税を活用してリニューアル。
社会科見学で訪れる市内の小学生から修学旅行生や観光客まで年間19万人が来訪する伝統産業の活性化の拠点です。
最近では、来場者の半数以上を海外からの観光客が占めています。

 「つくり手と使い手がともに伝統産業のいまを見つめ、これからを思い描く、自由な交流の場」をコンセプトに、伝統産業の活性化に取り組む同館の足立さんにお話を伺いました。

外国人観光客が教えてくれる伝統産業の新しい可能性

伝統産業ミュージアムの足立さん

-海外からのお客様の反応はどうですか?

足立さん:30分から1時間ほどかけてじっくりと展示をご覧になる方が多いですね。毎日行っている職人の実演では、熱心に質問される方の姿もよく見られます。私たちが気づかなかった伝統産業の新しい可能性を、海外からのお客様から教えていただくことも少なくありません。

たとえば「おりん」は、日本では仏具の一つとして使用されていますが、海外からのお客様から「瞑想やヨガで癒しの音色として使いたい」という声をいただきました。

 職人さんたちもその発想に共感し、ヨガなどに適した音色やデザインの「おりん」の商品開発に取り組んでいます。

おりん

-新たな視点が伝統産業の可能性を広げていますね。

足立さん:はい。友禅染めを施したコングレスバッグ(会議参加者に配られるバッグ)の開発もよい例です。
大規模な国際会議などでも使用されて好評を得ています。
会議後も長く使っていただけるよう、デザインにもこだわっているんですよ。商品づくりの際は、職人さんの高度な技術を生かしつつ、現代のニーズにも合うよう心がけています。

友禅染めを施したバッグ

-伝統産業にとって観光は大切な存在なんですね。

足立さん:私も京都で生まれ育ちましたが、海外の方が京都の伝統産業のすばらしさを褒めてくださることで、改めてその価値を再認識し、新しい視点に気づかされています。

伝統産業は、京都の文化に欠かせないものです。
お茶やお花、食文化、伝統芸能、それを支える道具の数々など、伝統産業は京都のあらゆる魅力と関わっています。
もっと市民の皆さまも含め、伝統産業の魅力や役割を大勢の方に知っていただけるよう周知に力を入れていきたいですね。

これからも、国内外から訪れる多くの観光客と職人さん、そして、市民の皆さまとの懸け橋になりながら、様々な刺激の中で伝統の技をさらに高め、未来へとつないでいきたいと思います。 

観光が未来へとつなぐ、京都の伝統文化

京都では長い歴史の中で、国内外のたくさんの人や文物が交じり合い、文化が育まれ技術が培われてきました。
「伝統と革新」が京都の発展の源泉です。

京都を訪れる方々の熱いまなざしは、私たちが見過ごしてしまう“当たり前”の価値を再発見するきっかけとなり、その技術と美しさを広げてくれています。

観光は京都の伝統や文化にとっても欠かせないものです。

これからも、温かい心でお客様をお迎えし、京都の発展につなげていきたいですね。


京都市では、市民の皆様の暮らしと観光をつなぐポータルサイト
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市民の皆様が市内を観光・散策するのにおススメのサービスやイベント情報が盛りだくさん!

観光と京都のまちの関係、観光課題に向けた取組なども分かりやすく発信しています。

ぜひ、ご覧下さい。

📝産業観光局観光MICE推進室


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