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目指せ令和の万葉集。若者世代は愛ある京都をつないでいきたい。
まちのイロイロな声や取組をつなぐ京都市職員「未来を紡ぐチーム」。
“つむぎすと”のまっつーです。
今回は、「グラレコ*」を描きつつ、現在議論が進んでいる京都市の「長期ビジョン」で何が議論されているのか?現場からリポートします!
*グラレコ(グラフィックレコーディング)は、会議やプレゼンの内容を絵や図形などのグラフィックを用いてまとめる手法
2050年を担う若者の声
京都市の2050年までのまちづくりの方針「長期ビジョン」
そこに若者世代の声を反映するために創設されたのが「京都市未来共創チーム会議」です。
京都市未来共創チーム会議
京都市長期ビジョンの内容を検討する若者チーム。伝統文化やクリエイティブ産業分野、都市デザイン、まちづくり活動など、様々な分野で活躍する10名の委員で構成されている。
【委員】五十音順・敬称略
安野貴博(合同会社機械経営CEO・AIエンジニア・起業家・SF作家)
池坊専宗(華道家・写真家)
伊住禮次朗(茶道総合資料館副館長)
大井葉月(京都市職員)
大竹莉瑚(市民公募委員)
杉田真理子(一般社団法人for Cities共同代表・都市デザイナー)
田口成人(京都市職員)
都地耕喜(EVER株式会社 代表取締役)
仲田匡志(株式会社SOU 代表取締役・U35-KYOTO プロジェクトマネージャー)
三川夏代(株式会社メルカリ『mercari R4D』)
【特別委員】
野村将揮(ハーバード大学デザイン大学院・京都哲学研究所・Yamauchi No.10 Family Office・京都大学成長戦略本部)
このチームではこれまで、「2050年の京都に残すもの」をテーマに議論を重ねてきました。
2024年12月に開催された第4回会議では、これまでの議論の内容を学識者等で構成する「審議会」にどのように伝えるか。
また「京都の未来に残したいもの」として何を伝えるかについて熱い議論が交わされました。
目指すのは令和の「万葉集」
会議を重ねる中で出てきたひとつの結論
それは、「個人の意見を、”そのまま”伝えたい」という思いです。
参加者1人1人のバックグラウンドは異なるし、フィールドも経験も伝えたいこともそれぞれ。じゃあ、まとめなくて良いのでは?ということです。
そこで出てきたコンセプトが令和の「万葉集」。
ご存じ『万葉集』は日本最古の和歌集。
天皇、貴族から庶民まで4,500首あまりの歌が収めれられ、恋愛や死者を哀悼するものなど、当時の人々の心情が時を超えて生き生きとよみがえります。
25年後とその先に、2024年の人がこんなことを考えていたということを残したい。思いのタイムカプセルのような。
”令和の万葉集”には、そんな願いがこもります。
急激に変化する今の時代に25年後を予測するのは難しい。
でも、未来に歩む過程で立ち戻れる場所を残したい。
そんな強い思いが伝わってきます。
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正しい「ビジョン」とはなにか?
「共創チーム」は市民から選ばれた“代表”では無いし、すべての市民の意見をくみ取れるわけではない。
では、どうするのか?
例えば、”矛盾”を問いかけてみる
『長期ビジョンは大切だけど、正しいのか?』
長期的な目線でまちづくりを見ることは大切という意見
長期で見ることが本当に正しいのか分からないという意見
この2つの意見の矛盾にどう向き合えば良いのだろうかと。
ある段階で「長期ビジョン」はできるけれども、それを「今」の議論の結果ではなく、深化(進化)し続ける「問い」と言う形で、市民の皆さんに投げかけてみるのはどうか。
その具体的な仕組みを作れないかと議論は展開していきます。
みんなの思い、記憶、プロセスを残す貯蔵庫を
・デジタルでアイデアの“貯蔵庫”を設け、個々の言葉や議論の過程を保存しておく。
・その“貯蔵庫”には、誰もがアクセスでき、勝手に使って、改変して戻すこともできる。
・そして、アイデアをカテゴリーごとにインデックスをつけて、引き出せるようにする。
紙面にしたら、書き直せない。
また今、網羅できていなかった思考を加えることができない。
でも可変性のデータだったら、全部を残し、加え、進化させることができるのではないか?
今作ったビジョンが、「なんか違うぞ?」と思った時には、戻って、思考のプロセスを見ることもできる。
そんな新しい「長期ビジョン」が模索されていきます。
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つながりからくる「愛」
「京都の未来に残したいもの」を議論する中で出てきたキーワードのひとつが、「つながりからくる『愛』」。
損得ではなく、ただその人を助けたいという思いからくる『愛』は、お互い様の気持ちで人々の間を循環していく。
京都には、そんな「愛」が生きていると。
東京での人間関係は“目的”や“肩書”が先に立ちがちだが、京都では純粋に「ただつながりたい」という思いで、人と人が出会うことができる。
そんな京都の良さを未来に伝えたいという意見に、多くのメンバーが共感していました。
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”良いもの”が積み重なった先にある未来
今回の会議で『自分にとっての”良いもの”が積み重なった先に、京都というまちができていく感覚。』という言葉が印象に残りました。
私たち「未来を紡ぐチーム」でも、『一体どれだけの方が、「未来」に興味があるのだろうか?』と話題になった事があります。
毎月第3金曜日の「芝生広場」の座談会でも、「今」何をしているのか。「今」どう思うのか。がたくさん語られます。
今作成した「長期ビジョン」も1年後には古くなっているかもしれない。
そんな時代に、今と言うリアルな積み重ねの先に、25年後の未来がある。
今の若者はそう思っている!
私たちも、今そこにある未来の種を拾って、紡いでいきたい。
改めてそう思った会議でした。
未来に届け!若者たちの”万葉集”!!
若者たちが今を詠む”万葉集”が、これからどう紡がれるのか。
これからも、議論を見つめつつ、自分たちにできることを考え続けていきます!
📝まっつー(未来を紡ぐチーム/総合企画局都市経営戦略室)
京都で働く私も、まちづくりに関わりひとりとして「今」を詠みたい!31文字で足りるかな?京都に関わる様々な人々の「今」が詠み紡がれますように。