会社を良くしたいって社長に意見したら、クビになりました。
「仕事がおもしろい!」
「やりたいことがどんどん出てくる!」
そういう大人に会ったことがありますか?
京都市では、未来を担う中高生と、新進気鋭の起業家の皆さんが仕事について一緒に考える「京都市ユース・アントレプレナーシッププログラム」を創設。
そのキックオフイベントとして開催した「アントレってなんソレ?」には、中高生を中心に約70名が参加しました。
起業家から教えてもらった自分らしく生きるヒントをお伝えします。
会社を良くしたいって社長に意見したら、クビになりました
(松村さん)僕は京都出身で、なんてことのないポンコツな人生を送ってきました。小学校の時はジャイアンみたいな、えらそうな人間やったんです。思いやりのないことばっかりしてたので、中1の時に友達がおらんくなってね。大きな挫折を味わいました。
壁に悪口を書かれたりもしたし、一人ぼっちで。野球をやってて、プロの選手になりたかったけど、こんな自分じゃなれるわけないし、スポーツでも挫折して。高校では一応友達はできたけど、やっぱり不安でしたね。
— たいへんな青春時代やったんですね。
(松村さん)大阪の大学に行ったんですけど、今度は大学生活が楽しすぎて5年半くらい通いました。でも周りが就活を始める頃に、電車の中の大人たちの目が死んでるのを見て、仕事っておもろなさそうやなと思って。
就活もせず、月曜から日曜までずっとパチンコしてました。朝から晩まで。ろくでもないですよね。親は心配してました。見事に借金をつくって、このままではあかんと思って働き始めたんです。
—そこから 今や100名近い社員さんがいて売上も30億近い会社に成長された。なんでそこまで頑張れたんですか?
(松村さん)仕事を始めてみたら、おもしろかったですよ。思っていた世界とは違った。アントレプレナーシップとか考えたことなかったですけど、僕にとっては創業した時の思いなのかな。前に勤めていたリフォームの工事の会社は、どうもお客さんも社員も喜んでいない状況やったんです。
そんなんおかしいと思って、
会社を良くしたいって社長に意見したら、クビになりました。
疑問ですよね。僕はお客さんも一緒に働く仲間も喜ばせたいと思って、会社をつくりました。
失敗とか葛藤とか、辛い時こそが人生が良くなる分岐点
ー松村さんはサプライズとか好きだし、人を喜ばせるのがめちゃくちゃ得意ですよね。サッカー選手の本田圭佑さんも言ってました、そういう人は経営者に向いてるって。
(松村さん)最初からそういう人間やったわけじゃないですけどね。嫁さんに教えてもらったんですよ。出張に行ったらお土産買ってくるんやで、とか。コロナ禍の時は、うちも2ヶ月くらい営業を停止したんですけど、皆不安でしたよね、この先どうなるかわからないし。
会社にたくさん蓄えがあったわけじゃないんですけど、皆に安心してもらえるようにと思って、特別ボーナスを皆に渡しました。あとは、営業はできなかったので、皆で人間力を高めようと、ひたすら勉強しましたね。慣れないzoomをつないだりして。ありがたいことに、営業を再開した月には過去最高の売上を達成することができました。
— 人に投資したら絶対にあとで回収できるっていう算段があったんですか?
(松村さん)正直、あんなに長引くとは思わなかったですよ。見込みが甘かった。ただ単に、運がよかったんです。
ーどうですか皆さん、おもしろい経営者でしょ。松村さん、最後に中学生・高校生にメッセージをお願いします。
(松村さん)さっき昔のひどい話を色々しましたけど、ああいう経験があってよかったなって僕は思ってるんです。失敗とか葛藤とか、辛い時こそが人生が良くなる分岐点になってて、逆にうまくいってる時は別に成長してない気がするから。
しんどくなったら「よしよし、来たぞ!」って思ってもらうといいんじゃないかな。家族や友達に相談して頼りながら、辛さを乗り越えていくことが、良い未来につながると思います。
— めっちゃわかります。でも若い時に大人からそう言われてもね…僕も大学生の時に詐欺師に騙されて借金を背負った時、「いい経験やな」って言われて腹が立ちました。
(松村さん)その時は必死だからね。ぜひ色んな経験をして、大人って最高や、仕事っておもろいなって、目を輝かせて語れる大人になってほしいです。今は申し訳ないけど、そういう大人が少ないかもしれない。けど、皆でちょっとずつそういう社会にしていくことが大事やと思います。
ー松村さん、ありがとうございました!
「京都市ユース・アントレプレナーシッププログラム」の運営費は、起業家教育の取組に御賛同いただいた方々の御寄付で実施しています。
今回ゲストでお越しいただいた松村さんが代表を務める株式会社誠進堂さんにもご寄付をいただいています。
改めて、感謝を申し上げます。