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見えない努力が暮らしを支える。京都の鉄道の安心・安全の舞台裏をレポートします
鉄道は、市民の皆さんの通勤や通学、買い物、通院をはじめ、ビジネス、観光など多くの方々の移動を支える大切なインフラです。
今回は、『嵐電』の愛称で親しまれている『京福電気鉄道』さんを訪れ、鉄道の安全安心を支える舞台裏をレポートします。
地域の鉄道を支える
「嵐電」は、京都の街を走り続けて110年。
市民の皆さんに愛されているほか、嵯峨嵐山や北野天満宮などの観光名所に向かう多くの観光客の方も利用されます。
一方で今、人口減少などの影響が、全国の地域鉄道*にも。
国の調査では、全国の事業者の約9割が、鉄道事業の経常収支が赤字となるなど、厳しい経営が続いています。
京都市では地域の足を守ろうと、「宿泊税」を活用し、鉄道事業者の安全対策等を支援しています。
*地域鉄道とは、新幹線、在来幹線、都市鉄道に該当する路線以外の鉄軌道路線
見えない努力で安心・安全を支える
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お話を伺ったのは、鉄道設備の保守管理を担当されている鉄道部技術課長の魚住さんです。
―路線の保守点検について教えてください。
魚住課長:安全運行の要(かなめ)となるのが、車両を支えるレールの管理です。レールの歪みは事故につながるため、法定の定期検査だけでなく、日々の維持管理が欠かせません。
嵐電ではほぼ毎日、営業時間終了後に職員が交代で、全長11キロのどこかの場所の補修工事を行っています。
―ほぼ毎日!?見えないところで大変なご苦労があるのですね。
魚住課長:レールはミリ単位の管理が必要です。
長年の経験を重ねたベテランの技術員は、現場を見ただけでレールの狂いをすぐに見つけるんですよ。
また、経年劣化するまくら木や、踏切設備の定期メンテナンス・更新なども計画的に行っています。
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ー最近ではバリアフリー化も重要ですよね?
魚住課長:はい。2021年春に『北野白梅町駅』のリニューアルしたほか、最近では宿泊税による支援を活用して、『帷子ノ辻駅』、『蚕ノ社駅』などで、段差解消やスロープ整備などを行いました。
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『帷子ノ辻駅』の整備により、北野線ではすべての駅でバリアフリー対応が完了しました。
嵐山本線にはまだバリアフリー化が必要な駅が残っていますので、引き続き整備を進めていく必要があります。
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魚住課長:また、車両の改修にも取り組んでいます。
例えば車両の前後に付いている『行先表示器』を多言語対応できるLED式に順次更新しています。
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―お客さんの反応はいかがですか?
魚住課長:当社線ではご高齢の方や障がいをお持ちのお客様もご利用されます。お客様から「乗り降りが楽になった」とか「駅が使いやすくなった」などのお声をいただいています。
また、『行先表示器』を日本語・英語・中国語・韓国語の4カ国語で表示することで、観光客の方も迷われることが少なくなった印象ですね。
お客様から感謝のお手紙をいただくこともあるんですが、温かいお言葉は、私たちにとって何よりの励みです。
一つ一つ社内で共有して、より良いサービスへの原動力にしています。
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魚住課長:これからも、地域の皆様はもちろん、観光のお客様にも『嵐電っていいよね』と思っていただけるよう、安心・安全で皆さんから愛される公共交通を目指していきたいですね。
新型車両もぞくぞく発進!
京都市では、車両整備の一部にも宿泊税を活用した支援を行っています。
嵐電では、2025年春から新型車両『KYOTRAM』の営業運転を開始。
消費電力を大幅に削減できる環境配慮型の車両として、5年かけて7両を順次配備していく計画です。
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また、『叡山電鉄』では2024年春から、一灯式の前照灯が印象的なレトロ調電車『ノスタルジック731(なな・さん・いち) 改』を運行開始。
叡山本線開業当時に運行していた『デナ1型車両』をイメージした車両で、緑色の外装と木目調の内装など高級感あふれる人気車両です。
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見えない努力を『宿泊税』がお手伝い
私たちが毎日のように利用している公共交通。
見えないところで、たくさんの方々が安心・安全を支えてくださっています。
また、京都を訪れる観光客の皆さんにも『宿泊税』という形で、より良い公共交通の実現に参加していただいています。
京都市ではこれからも、『宿泊税』を活用して、市民・観光客双方の利便性向上や安心・安全につながる取組を進めていきます。
京都市では、市民の皆様の暮らしと観光をつなぐポータルサイト
「LINK! LINK! LINK!(リンク・リンク・リンク)」を開設しました。
市民の皆様が市内を観光・散策するのにおススメのサービスやイベント情報が盛りだくさん!
観光と京都のまちの関係、観光課題に向けた取組なども分かりやすく発信しています。
ぜひ、ご覧下さい。
📝産業観光局観光MICE推進室