宿泊税を活用した、子どもたちの「茶道体験」授業に密着!
京都市では、観光客に納めていただいた宿泊税を活用し、市内全ての市立小・中学校で茶道・華道の伝統文化体験授業を行っています。
まさに京都ならではの取組!
子どもたちにとって、所作、礼儀、道具を大切にする心などを学べる大切な時間です。
今回は、そんな伝統文化体験授業をレポートします!
本格的な茶道体験にびっくり!
今回取材に訪れたのは京都市立二条城北小学校。
この日は6年2組の児童23名が茶道を体験しました。
はじめは座学から
「子ども向けの簡単な内容かな?」と思ったら大間違い!
まずは、茶道裏千家・木村宗恭先生から、茶道の歴史と京都のかかわりや、千利休や豊臣秀吉が愛した名水、茶道のおもてなしの精神などのお話を聞きます。
子ども達はもちろんのこと、私たち取材スタッフも思わず仕事を忘れてしまうほど、全員が熱心に聞き入っていました。
しかし!授業は全部で90分!
正座が続き、さすがに足が限界に。
児童たちも、むずむず、そわそわ…。
定期的に立ち上がりながら授業が進みます。
実際にやってみよう!
座学のあとは、いよいよ茶道体験!
まずは茶菓子が配られたら、両手をついてお辞儀をします。
茶菓子を懐紙ごと手に取り、楊枝で切りながら口に運びます。
とっても美味しそう。
この日、用意されたのは『雪花』という冬のお菓子。
お菓子からも季節の移ろいを感じます。
続いて、子どもたちの前にそれぞれ茶碗と茶筅が配られます。ちゃんとお茶も自分で点てます。
茶筅の動かし方は流派によって異なるそうで、裏千家ではきめ細かい泡が立つように、手首のスナップを利かせてシャカシャカと茶筅を動かします。
「できた!」と早々に茶筅を置く子や、なかなか泡が立たずに苦戦する子も。慣れない手つきで一生懸命に取り組んでいます。
「お点前ちょうだいします」と挨拶したあと、左手に茶碗をのせ、時計回りに茶碗を回し、お茶をいただきます。
「おいしい!」「苦い!」と反応はさまざま。
終始楽しそうに体験する児童たちの表情がとっても印象的でした。
子どもたちの感想は…
最後に、児童全員から今日の感想を発表。
「お茶が思っていたより苦くてびっくりした」
「文化やおもてなしの心を知ることができて良かった」
「社会で習って気になっていた。勉強になった」
「お茶をうまく点てられなかったからまたやってみたい」
など、子どもたちはそれぞれにお茶の魅力を感じた様子。たくさんの感想を聞くことができました。
木村先生にインタビュー!
木村先生は、2017年から二条城北小学校での茶道体験授業を担当されています。
-子どもたちに授業をして感じることはありますか?
木村先生:最近ではおじいちゃんおばあちゃんと同居している子どもたちは減っていますよね。それもあってか、茶道に限らず、伝統的な文化を実際に体験する機会があまりないのだと思います。
でもそれはきっかけがないだけで、今の子どもたちはSNSやテレビなどで茶道や華道のイメージは分かっていますから、こうして体験する機会があると、どの子もすごく上手にできるんですよ。説明したらちゃんと本質を分かってくれて、本当に感心します。
-子どもの頃にこうした体験をできる機会があるって素敵ですね。
茶道体験を通して、子どもたちにどんなことを伝えたいですか?
木村先生:茶道には「利休七則」といって、お客さんの状況や気持ちを考えてお茶を点てたり、相手が心地よく過ごせるように準備したり空間を作ったりする、相手を思いやる『おもてなし』の精神の本質が詰まっています。
木村先生:小学生から高校生ぐらいの子どもたちって、何かを感じたり掴み取ったりする力がすごくあると思います。
そんな多感な時期にこうした授業を受けると強く印象に残ると思いますし、子どもたちにとって大切な財産になるのではないでしょうか。
この授業を通して少しでも茶道に興味を持ってもらえると嬉しいですが、何よりも『思いやり』や『おもてなしの心』を少しでも受け取ってくれたらとても嬉しいですね。
中学校では華道体験授業も
京都市立中学校では、華道体験の授業を行っています。
市立小・中学校に通われている児童・生徒の皆さんは、中学校卒業までの間に必ず1回は茶道と華道の体験授業を受けることになっています。
京都の子どもたちの文化力はこうして培われていくんですね。
宿泊税を活用し、伝統文化を未来へ!
今回の取材では、終始、児童たちの活き活きとした笑顔が印象的で、とっても心温まるものでした。
こうした身近な取組にも宿泊税は生かされています。
これからも、宿泊税を有効に活用して、観光課題への対策だけでなく、京都の伝統文化の継承や美しい景観の保全など、様々な取組を進めていきます。
京都市では、市民の皆様の暮らしと観光をつなぐポータルサイト
「LINK! LINK! LINK!(リンク・リンク・リンク)」を開設しました。
市民の皆様が市内を観光・散策するのにおススメのサービスやイベント情報が盛りだくさん!
観光と京都のまちの関係、観光課題に向けた取組なども分かりやすく発信しています。
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